2019年03月 | 保存修理レポート
保存修理レポート08『2019年3月』又新殿の屋根塀の解体状況
又新殿の屋根塀解体中 屋根銅板葺の解体状況
又新殿の屋根の銅板葺は昭和44年(1969)に、それ以前の檜皮葺から葺き替えられました。
野地板には銅板の止釘痕はなく、木部の釘痕の調査などから、現在の野地は昭和44年に造られたもので、屋根塀の銅板葺屋根は同年から今回の修理までは葺き替えが行われていないと考えられます。
又新殿の屋根塀解体中 屋根銅板葺・防水シートの解体完了
野地と野垂木、箱棟の下地材の加工痕から当初建築以降に建て替えられたことが分かりました。
又新殿の屋根塀解体中 漆喰壁の解体完了
小舞は、割竹に麻(調査中)を巻き付けたものを丸釘で止めていました。
又新殿の屋根塀解体中 壁板・欄間の解体状況
欄間は、壁板と一緒に外しました。欄間は、内側から壁板に竹釘で止められていました。
又新殿の屋根塀の解体状況
柱は1本おきに外側側面に溝を彫り、転倒防止用の鉄柱を溝に入れ、木ネジで柱に緊結していました。
また、鉄柱は足元を基礎石に埋め込み、樹脂のようなもので固定していました。現在のところ、建築年を示す墨書などは確認されていません。
さらに、軸部から軒廻りまでの当初材と思われる部材の野面の表面加工では、木挽きや与岐、釿などの伝統工具の使用も確認できました。