人がつなぐ道後温泉本館

2020年03月 | 人がつなぐ道後温泉本館

松山市 産業経済部 道後温泉事務所 副主幹
建築設備士 岡平都茂さんに聞きました!

道後温泉本館といえば、増築や改修を繰り返してきた、わが国を代表する温泉建物に興味を惹かれる方が多いかと思います。一方、道後温泉の命ともいえる源泉や温泉の供給方法、排水について考える人は少ないと思います。
道後温泉の源泉は、神の湯本館棟の旧一の湯(現神の湯男子)浴室と旧養生湯(現神の湯女子西脱衣室)に自噴していたと伝わっています。自噴する源泉の湯量を調整することは、建設当時不可能でした。
「いかにして、湧き出る温泉を排水させるか」は、当時の道後温泉にとって課題であり、また建物にとってはそれに伴い生じる湿気・腐食との闘いでした。
今回の保存修理工事での陶管の発見は、当時の温泉の排水方法や、増築等を繰り返してきた建物の雨水の流れや、浴室から漏れ出る水の流れ、地下水の流れなどを示す重要な発見であり、道後温泉本館の変遷を探る上でも大変意義のあることだと思います。