保存修理レポート

2020年07月 | 保存修理レポート

保存修理レポート64 南棟 大屋根桟瓦葺替完了

瓦は全て打音検査を行い再利用する瓦を厳選しました。
瓦は今治の菊間瓦を使用し、いぶし銀色の光沢と艶が特徴です。
文化財保存修理工事の瓦の製作は、工事前の瓦を細部まで計測し同じ形状にする必要があります。

瓦は粘土の状態から乾燥、焼入れを行うことで約8%縮むため、
あらかじめ収縮を考慮し制作する必要があるなど、豊富な経験や高い技術に加え、長い時間を要しました。

新しく制作した瓦の事を『補足瓦』と言い、南棟3階では、約4,000枚の瓦のうち、約1,000枚を補足瓦と取り替えました。
補足瓦は耐久性がある事から日照時間が短く、雨などが乾きにくい等、環境が厳しい西面に葺きました。
(参考 2020年5月レポート59)
(2020年7月)